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優れたB型肝炎予防ワクチン開発に成功
―既存ワクチンの弱点克服へ―
Neutralization of Hepatitis B Virus with Vaccine-Escape Mutations by Hepatitis B Vaccine with
Large-HBs Antigen
22/9/7
京都大学ヒト行動進化研究センター 明里宏文 教授、鷲崎彩夏 同特定研究員、 国立感染症研究所 加藤孝宣室長、村山麻子 同研究所研究員、㈱ビークル 郷 保 正 代表取締役らの共同研究グループは、B型肝炎の予防に繋がる優れた新規B型 肝炎ワクチンの開発に成功しました。
B型肝炎はB型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus; HBV)感染によって起こる肝臓 の病気です。B型肝炎(HB)ワクチンはB型肝炎の予防に有効なことから、日本を 含む世界の多くの国々でHBワクチンの予防接種が実施されています。しかし近年 の研究では、このワクチンをすり抜けてしまうHBVがあることが報告されていま す。この理由として、ウイルスゲノムに特定の変異が生じたHBVは、ワクチン接 種により作られる免疫を逃れてしまうことが判ってきました。このような変異を 持つHBVは、ワクチン接種済みの人々にも拡がることが危惧されています。私達 は、こうした変異HBVにも有効な免疫を作り出すことが可能な、新規ワクチンの 開発に成功しました。このワクチンが実用化されれば、既存ワクチンの弱点を克 服することでB型肝炎の予防に繋がることが期待されます。
本成果は、2022年9月5日(現地時刻)に英国の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
詳しくはこちら→https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2022-09-07-3
Washizaki, A., Murayama, A., Murata, M. et al. Neutralization of hepatitis B virus with vaccine-escape mutations by hepatitis B vaccine with large-HBs antigen. Nat Commun13, 5207 (2022).