top of page

研究成果

遊びの進化的起源に関する新仮説の提唱

From curiosity to play: re-evaluating the evolutionary origins of play 

25/3/10

ーモセット大腸オルガノイド(緑:上皮細胞、赤:増殖性の細胞)一部の細胞は増殖をやめて成熟した細胞に変化していることが分かる。

取っ組み合って遊ぶニホンザル(壹岐 朔巳 撮影)

背景
動物における遊び行動の進化的起源は、進化生物学における未解決問題の一つです。遊びは一般に、生存や繁殖に直接的な利益をもたらさない非機能的な行動と考えられており、このことは、「自然選択によって進化した形質は、生存や繁殖に何らかの利益をもたらしているはずである」というダーウィン進化論の原理と一見矛盾しています。

一方で、遊びが将来の生存や繁殖に役立つスキルを学習する機会を提供している可能性も指摘されていますが、動物を対象とした実証的研究において、このような「学習機能」が普遍的に確認されているわけではありません。

研究成果
壹岐 朔巳 特定研究員は、過去150年間にわたり蓄積された動物の遊び行動に関する研究知見を網羅的に再検討し、「初期の遊び行動は、好奇心に関わる神経心理学的メカニズムの進化的副産物として出現した」という新たな仮説を提唱しました。

本研究では、この仮説を支持する最近の実証的知見として、(1)好奇心と遊び行動を誘発する刺激に共通性が認められること、(2)報酬系および実行制御系などの神経基盤が好奇心と遊び行動の両者で共有されていることなどが議論されています。

本成果は、2025年3月5日に国際学術誌「Biological Reviews」オンライン版に掲載されました。

 

Biological Reviews

https://doi.org/10.1111/brv.70009

関連リンク  
read-only version:

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/brv.70009

Biological Reviews

京都大学ヒト行動進化研究センター

484-8506 愛知県犬山市官林41-2 京都大学犬山キャンパス

©2022 by EHUB

bottom of page